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執筆者の写真上村優子

エマがガンになって


 夏の終わりの頃というのに猛暑がぶり返していますね。

皆さまお変わりないでしょうか。

 毎年異常な気温で、こんなに暑いと、このまま地球は破滅するのではないか… とさえ思えてきます。物騒なことを言うようですが、人間の犯し続ける罪の報いのような気もします。手塚治虫先生の描いたように。





 さて先日5月下旬、エマ(猫♀9才)がガンになりました。というか、悪性リンパ腫、それも3つの病変がある末期の状態とわかりました。

 ある日テーブルの上に乗った後ろ姿を見て、陰部に赤い血のようなものを見て、慌てて近くの病院へ連れて行った日、まず2−3cmにもなる腫瘍が胸部に見つかり、腫瘍専門医のいる病院を紹介されました。

 もともと痩せているのと、食欲もとてもあったのでまさかそんな病魔に犯されているとは露とも思っていませんでした。


 エマは2015年の夏、山梨時代に元パートナーの山中剛と一緒に里親サイトにて迎えた2匹の姉妹の姉の方です(おそらく同じ時に生まれていますがエマの方がお姉さんぽいので。ちなみに妹はシマ)。


右エマ 左シマ


 治療法としては、以下の3つの説明。何れにせよ根治はしない。選択は飼い主に委ねられる。


  1. 抗がん剤

  2. ステロイド

  3. 何もしない


 抗がん剤と聞くと亡き父のガン治療の記憶が蘇りとても前向きに考えられなかったのと、猫のリンパ腫に効果が出やすく人間の場合よりは副作用もひどくはない…と聞いたものの、ーーー朝病院へ連れて行き、エマにとってはよくわからない検査の後、抗がん剤投与し、夕方連れて帰るーーーというのを毎週続けるという選択は私にはできませんでした。


 選択したのはステロイド治療。ステロイドは最初は効果があるが1ヶ月ほどで耐性ができ、ガンに効かなくなる、のだけれど。あとはステロイドは胃に強いので胃薬と、肝機能の低下を予防する肝臓の薬を飲み始めました。


 思い返すと、ガンが発覚した当初は毎日エマがかわいそうで悲しくて泣いていました。お酒を飲み酔い「さよならだけが人生だ」などと川島雄三が好んだ言葉をなぞったりして。


 頭ではわかっているのです。人にも動物にもあらゆる生物には寿命があるのだと。私もいつか死にます。

 でも、目の前の大切な存在が死に向かっていることを、受け入れることが心には難しいのです。


 エマは山梨時代はアウトドア派で雨のとき以外はほぼ外にいました。長いリードをつけて。2022年1月に山中が突然の病で倒れたとき、駆けつけた救急隊員たちに驚きリードを抜けて逃げました。東京から私も駆けつけてから、山中を失った現実を受け止めきれぬまま毎日エマを泣きながら探して、3日めにようやく捕まえることができたときは本当にほっとしたのを今でも昨日のことのように覚えています。


 その後私がエマとシマを東京に連れてきたのですが、エマの病気が発覚したころはしきりに、「そばで可愛がっていた人が突然いなくなって、あげく世知辛い東京に連れてこられて、一番辛かったのはエマだったんだ」などとばかり思えて、なぜもっと早くに気づいてげられなかったのだろうと、むやみに自分を責めたりもしました。


 末期ガンの発覚からはや3ヶ月半。今エマは波がありながらも、自宅で皮下輸液をしながらがんばっています。エマにどうしたら寄り添えるかを日々考えながら、私もがんばっています。



 今日テレビをつけていたら開発中の仏教AIの情報があり、「滅びるものに対して嘆くことはない。なぜならその嘆く心もいずれ滅びるものである。」という言葉に動かされ、お寺に行きたくなったので近所の九品仏浄真寺へ行きました。

 ちょうど夕方の読経が始まっていて、蝉しぐれとあいまる読経を聴きながら手をあわせていたら不思議に心が落ち着いていきました。他には少し離れておばあさんがいただけで、心地よい風が吹いていました。


 帰り道の空は雲がうっすらと夕暮れになじんでたなびく秋の空。そんな空を見ながら亡き父や山中に語りかけながら歩きました。

 

 エマ、帰ったらごはんだね。




 



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